過去のレースから得られた馬券のヒント
- 札幌競馬場は力のいる洋芝で、レースが行われるのは最終週の馬場。例年通りなら、上り3ハロンが極端に速くなるようなことは無い。道中から勝負所にかけての立ち回りや持続力勝負への適性がポイントに。
- ポテンシャルだけでなく、経験値も重要な1戦(2戦組が好成績)
2023年 札幌2歳ステークス レース振り返り
戦前のレース論点
- デビュー戦で高いパフォーマンスを発揮したガイアメンテが中心。
- 勝ち馬のセットアップはデビュー戦を落としていたことが理由か、次の未勝利戦を好時計で勝ちあがっているものの、4番人気の評価。
1-3着馬の戦前・戦後のコメント
1着馬:セットアップ
- 戦前情報・評価・コメント
- 新馬戦こそ相手(レガレイラ)が悪すぎたが、2走目で快勝。時計の出やすい馬場状態だったが、1分48秒5のタイムは優秀で、例年の札幌2歳ステークスでも十分勝負になる水準。
- 初戦(2着)は序盤で物見をしながらも、上手な逃げに持ち込んだが、勝ち馬が1枚上手だった。2戦目は外枠から出脚良く先手を取り、後続を引き離す形のレース運び。序盤は力みも見られたが、中盤で2番手との距離感を確認しながら気分良く走らせ、勝負所からは後ろを待たずにセーフティーリードを取りに行き、そのまま最後まで追いつかせなかった。
- 2歳のこの時期にしてはしっかりしているし、完成度が高い。馬っぷりも悪くない。今回も自分のリズムで運べれば通用する。まだ子供っぽい面があって、もう少しリラックスして走れば、ラストの伸びも違うと思うが、それでも好時計で勝ったように力はある。スピードある逃げ馬で、前走は勝負所で既に勝負を決めていただけに、重賞でも臆することなく行くことで勝機が見えてくるはず。目立った疲れはなく、順調に来ている。
- 戦後情報・評価・コメント
- パドックも返し馬も気配良好。出足が速く、労せずハナへ。2コーナーから向こう正面にかけては、ジワっとリードを3馬身ほどに広げた。他馬の競いかけもなかったことで5ハロン通過は62秒1。2-3馬身ほどのリードを保ってゆったりしたペースで逃げていけた。3コーナーの半マイル標識から一気にペースを上げて後続を引き離した。4コーナーで攻めあぐむ後続に対し、直線は独走状態。展開に恵まれた面はあるものの、後続馬に影を踏ませることなく4馬身差で重賞制覇。
- テンションが上がりやすいところがあるが、性格は素直で操縦しやすい。馬場が悪かったが、ダートでも走れそうな馬だったので、信じて内をついた。距離的には2000mよりは1600mの方が良さそう。
2着馬:パワーホール
- 戦前情報・評価・コメント
- 中距離の新馬戦らしく緩いペースで逃げを打てたとはいえ、ラスト2ハロン2-11.1のラップが刻めるのは高い能力がある証拠。4コーナーで外から被されても動じるそぶり無く、センスの高さも窺えた。
- 放牧から戻ってきたが、体は特に変わっていないし、ダメージが残るようなレースでもなかったので、状態は変わりない。逃げて勝ったが、加速するラップで、瞬発力も見せてくれたし、素直で操縦性も高い。
- この中間は勢いある動きを見せていた。体もスカッとして、叩いた上積みが大きい。
- 戦後情報・評価・コメント
- 気配良好。2番手に控えてもスローペースを演出。逃げなくてもスムーズに立ち回れてセンスの高さを見せていた。中盤はマーゴットソラーレやギャンブルルームが差のない位置へつけてくるが、先を譲ることなく最終ターンを回る。ラストまで脚を鈍らせることなく2着を確保。
3着馬:ギャンブルルーム
- 戦前情報・評価・コメント
- 初戦は思っていた以上に鋭い切れ味を発揮してくれた。追走に苦労するも直線だけで他馬をごぼう抜き。大跳びかつ脚の回転力もあり、効率よく前進している感じ。
- 同じ2歳(オープンクラス)に手応えで完敗だったが、時計は合格点。動かせば動かすだけ伸びる感じで、全体的にパワフル。ビシッと追われたことで良化しそう。
- 栗東でしっかり動かしてきたので、要所の反応は悪くない。馬体も上々。まだ未経験の馬群に入った時のレースぶりと広い阪神外回りから直線の短い札幌に替わることへの対応が鍵。力のいる札幌の洋芝は合っていると思う。
- 戦後情報・評価・コメント
- スタート後、もったまま3番手の外でレースの流れに乗る。ペースが遅かったため、初戦と違ってスムーズな追走。しかし、スローペースは逃げた勝ち馬にとっても有利に働き、3-4コーナーでは、追っても追っても差が詰まらず、直線も右手前のままだった。最後は外から攻勢をかけてきたガイアメンテを振りほどいて、何とか3着を確保。
- 一度使ったことで動きは良くなっていたし、スタートしてからもったままで3番手まで行けてレースセンスも良くなっていた。今回は馬場適性の差が出てしまったが、ラストまで踏ん張った。
人気裏切り馬の戦前・戦後コメント
1番人気:ガイアメンテ(6着)
- 戦前情報・評価・コメント
- 初戦は煽るような形でスタートを出たが、すぐに挽回して好位で我慢。4コーナーで逆手前になったのは課題だが、直線ではノーステッキで軽々と抜け出した。
- 手足が長くフットワークも大きいので荒れた馬場がどうかだが、トップスピードの持続力にはいいモノがあるため、良馬場でやれさえすれば初戦よりもっといいパフォーマンスが発揮できそう。気性は大人びていて気配上々。
- 上がり重点。馬体に緩みなく、スムーズに四肢が出て軽やかに動いた。好気配をキープ。
- 戦後情報・評価・コメント
- パドックでのテンションが高く、激しく入れ込んでいたし、ゲート内でも落ち着きがなかった。発馬から煽って最後方からの競馬に。ペースも落ち着いて、展開的には不利だった。勝負に行くには向こう正面で動くしかなかったが、コーナーでは外々を回らされ、更に4コーナーで逆手前になって膨れる場面。今回は若さが出てしまった。
2022年 札幌2歳ステークス レース振り返り
戦前のレース論点
- 2018年 有馬記念 勝ち馬ブラストワンピースの全弟ブラストウェーブは、前走内容と血統背景を背に人気の一角を形成。
1-3着馬の戦前・戦後のコメント
1着:ドゥーラ
- 戦前情報・評価・コメント
- 同舞台2戦目の前走(未勝利戦)が優秀。1分49秒1は2歳戦としては速く、上り3ハロンの時計も上等。札幌2歳ステークスの過去10年の勝ち時計の平均が1分49秒9。単純比較はできないものの、重賞を勝てる水準にある。
- 出負けした初戦(4着)とは違い、五分のスタートを決めると3番手から正攻法で抜け出した。直線では外にヨレるなど、若さを見せていたが、それでもグイっと伸びきった脚力が光る。
- 使うごとに落ち着きが出て、精神面での成長が窺える。追ってからの反応も上々。まだ、上積みがある。実戦を重ねても落ち着きを保てており、状態は良さそう。
- 折り合いの不安が全くなく、2000mぐらいでも大丈夫なタイプ。外に張る面が課題も、そのあたりがスムーズなら楽しみ。
- 戦後情報・評価・コメント
- ゲートを五分に出て中団外目。いつでも動ける位置でスムーズに運んだ。3-4コーナーで手応えよく上がっていき、直線で抜け出す。多少外に張っていたが、ほぼ気にならない程度。一戦ごとに内容が良くなっている。
- 開催が進んで内の馬場が荒れていたので、枠も良かったし、前にいた馬を目標にレースを進めた。先に動いた2着馬のすぐ後ろに取り付き、手応え十分に直線へ。先に抜け出した相手に軽いアクションで並びかけて、あっさり突き放して危なげなかった。使うごとに反応が増しており、成長を感じさせる走り。
- 2戦とも上りが最速で、今日は道中もリズム良く走れて、ラストも脚を使った。スタートがすごく上手で、折り合いもつくため、運びたいところで運べ、どこからでも脚が使える。
2着:ドゥアイズ
- 戦前情報・評価・コメント
- コスモス賞後は大きな疲れは見られなかった。現状はまだ口向きに課題があるため、中間は馬具で工夫して矯正が図られた。追い切りではその効果もあったようでいい具合に動けていた。
- 馬体減りなく、1戦毎に締まりが出ていい雰囲気。金曜日は余裕残しだったが、調教でもだいぶ動けるようになってきた。時計は遅いが柔軟な脚捌きを見せ、状態をしっかり維持している。
- 戦後情報・評価・コメント
- 内側の馬場が荒れていたため、外枠に入ったのが、結果的に功を奏した。
- レースはスタートを決めて中団へ。2コーナーからは好位へ。好位追走から流れに乗って、終始馬場のいい外目を通りながら、手応えよく上がっていき、直線では先頭に。最後は自身の後をついてきたドゥーラに交わされてしまった。結果的に勝ち馬の目標となったが、積極的な競馬で勝ち馬と実力的には互角。
- まだ、ハミ受けに難しいところがあって、現状はマイルくらいが良い。
3着:ダイヤモンドハンズ
- 戦前情報・評価・コメント
- 父サトノダイヤモンドに似て、馬体のバランスが良く、フットワークも伸びやか。ジョッキーが新馬戦(1着)後に、距離が全然足りなかったと評したように1ハロン延長はプラス。
- 調教では相変わらずキレを感じさせる動きで先着。追ってからの反応が抜群。前走後も乗り込まれているが、体も大きくなって成長し、いい感じで仕上がっている。
- 加速するまでに時間を要するタイプのため、小回りへの対応が鍵となる。雄大なフットワークをしているので、距離延長は間違いなく良い。洋芝も良いので、あとは北海道までの輸送さえクリアしてくれれば。
- 戦後情報・評価・コメント
- 14キロの馬体重増も太くなかった。
- レースでは1歩目が遅く後方から。向こう正面では最後方に下がった。4コーナーで大外を上がっていったが、逆手前でやや外に膨れ気味。それでも終いまで脚色衰えず、ゴール前で右手前に替えて追い上げる。器用さに欠ける立ち回りにはなったが、長くいい脚を使い、力を見せた。
- トビが大きく、小回りコースは向かないが、能力の一端は見せた。距離は伸びた方が良さそう。
人気裏切り馬の戦前・戦後コメント
2番人気:シャンドゥレール(7着)
- 戦前情報・評価・コメント
- 新馬戦はゲートを嫌がっていたものの、ゲートが開くとハナを切り、途中から2番手に控えた。センスのいい走りに見えたが、序盤は物見をし、道中はずっとフワフワして遊び気味。それでも直線で追われるとしっかり伸びて後続を完封。
- 中間は放牧を挟んで函館に入厩して乗り込み、1週前に札幌に移動。テンションも上がっていないし、順調。センスのいい馬でコース替わりに不安は無いし、相手強化も楽しみ。
- 体つきや仕草からやや幼さが感じられるが、調教で動く格上の古馬相手に動きは良く、デキは良好。子供っぽさが抜けてきたし、ゲートも2回目で慣れてくるだろう。体は少し絞れて、上積みも見込める。操作性がいいので小回りも大丈夫。
- 戦後情報・評価・コメント
- ゲートの中立で落ち着かずに煽って最後方からのスタート。向こう正面でジワっと上がっていった。直線では、外を回ったこと、舌がハミを越して馬が集中しきれなかったこと、手前も替えていなかったことなどが重なって、脚色が同じになってしまった。
- まだ子供っぽくて、全く集中していなかった。初戦でゲートに入らなかったので、今日は早めに入れたが、中で待たされ過ぎた。出遅れてしまったし、小回りも良くない。今日は気持ちも全く乗っていなかった。
3番人気:ブラストウェーブ(5着)
- 戦前情報・評価・コメント
- 2018年 有馬記念 勝ち馬ブラストワンピースの全弟という血統背景から人気の一角を形成。
- 前走は心身ともに万全とは言えない状況で、好位追走の正攻法で抜け出して押し切った。早めに先頭に立った分、詰め寄られてしまい2着馬とは僅差。しかし見た目以上に余裕はあり、3着馬とは5馬身差。使った上積みが大きそう。
- 1週前は函館のWで格上馬としっかり併せ馬。好時計を記録するも、ゴール前の反応が鈍く、まだ重い印象が残るも、デビュー時もこんな感じから変わったので、このひと追いで変わるだろう。まだトモの緩さなど、良化の余地がある。
- まだ動ききれていないものの、相変わらず目立つ馬体で、迫力満点。引き続き気配良し。この時期の完成度としては全兄ブラストワンピースよりも格段に髙い。
- 戦後情報・評価・コメント
- 最初のコーナーで口を割って行きたがったため、折り合い重視で中団に位置。馬群の中で脚を溜める。コーナーでは内をロスなく回り、直線入り口で外の馬を弾くようにして進路を作ったが、そこからもう一伸びが無かった。大型馬で一瞬の脚に欠ける印象だけに、惰性を付ける形の方が良さそう。
- 調教でも返し馬でも感じた体の幼さが、レースでもそのまま出てしまった。