『初仔は走らない』と競馬界では、まことしやかに囁かれていますが、実際に初仔が活躍した事例がない訳ではありません。初仔は判断材料に乏しいので、POGドラフトでは敬遠されることも多いと思われますが、判断材料が少ない分、競合も発生しにくく、ドラフト下位でも優秀な手駒が獲得できるというメリットもあります。ドラフトメンバーに差をつけたいのならば、初仔も敬遠せずにしっかり検討した方が良いと思います。
まずは父馬ブリックスアンドモルタルについて紹介します。ブリックスアンドモルタルはストームキャット系種牡馬で、競走馬としての生涯戦績は13戦11勝。2019年 BCターフ 【GⅠ】を含む芝中長距離GⅠを計5勝し、同年 米年度代表馬に選出された超一流の競走馬でした。競走馬引退後は日本に導入され、初年度産駒である2023年2歳馬からは出世レースの1つであるサウジアラビアRC 【GⅢ】を快勝したゴンバデカーブースを輩出しています。
ブリックスアンドモルタルの秀逸な競走成績、芝適性に加えて、日本の繁殖牝馬に種付けしやすい血統構成でもあることからか、ブリックスアンドモルタルの2024年2歳馬の血統登録頭数は129頭で、初年度産駒と同程度の産駒数が血統登録されています(初年度127頭)。中でも社台ファームは49頭(初年度27頭)と生産数自体を増やしていますし、他の生産者とは一線を画す頭数の生産馬が血統登録されており(ノーザンファーム生産の2024年血統登録数は13頭)、更には種付けされた繁殖牝馬の質も高いように思われます。ブリックスアンドモルタルを種牡馬として成功させようとする社台ファームの並々ならぬ決意が窺い知れます。2024年は既に優秀な繁殖実績を残している母馬からもブリックスアンドモルタル産駒2歳馬が輩出されますが、それらは他のPOGメンバーと競合する可能性も高いでしょう。他メンバーを差し置いて、優秀なブリックスアンドモルタル産駒を獲得するための戦略の1つとして、ブリックスアンドモルタル産駒初仔の獲得を検討してみてはいかがでしょうか。その検討の一助となるよう、独断と偏見で選んだブリックスアンドモルタル産駒3頭を紹介します。
カラクレナイ2022(牡)
母馬カラクレナイは社台ファームの生産馬で、生涯戦績は26戦4勝。主な勝ち鞍は2017年 フィリーズレビュー 【GⅡ】です。2歳10月 京都競馬場 芝1400mの新馬戦でデビューするも、初戦は2着。続く未勝利戦を勝利した後、3連勝でフィリーズレビューを制覇し、桜花賞では4着入線の実績を残しました。
配合相性のヒントを探るべく、父馬ブリックスアンドモルタル×母父ローエングリンの配合を探してみたところ、同配合の産駒はカラクレナイ2022以外に1頭しかいませんでしたが、その1頭は現時点で1勝もできていませんでした(2024年1月1日時点)。
母馬カラクレナイ自身は2歳から重賞戦線で活躍する早熟性を持っていましたし、デビュー戦時の馬体重は482kgと恵まれた馬格を有していましたので、それらが本馬に受け継がれているならば、POG期間内での活躍も見込めるでしょう。
リバティハイツ2022(牡)
母馬リバティハイツも社台ファームの生産馬で、生涯戦績は22戦3勝。主な勝ち鞍は2018年 フィリーズレビュー 【GⅡ】です。リバティハイツは2歳12月に競走馬デビュー。デビュー戦時の馬体重は452kgでした。デビュー戦は3着に敗れ、続く未勝利戦で初勝利を飾りました。続く1勝クラスを取りこぼしてしまった後、フィリーズレビューを勝って、桜花賞に駒を進め、桜花賞は6着という結果でした。競走馬デビューの時期はやや遅めではありましたが、POG期間内に重賞勝利を飾って、牝馬クラシックを賑わせた存在でした。
配合相性のヒントを探るべく、父馬ブリックスアンドモルタル×母父キングカメハメハの配合を探してみたところ、初年度産駒は該当馬が11頭(社台ファーム生産4頭)、2年目産駒は16頭(社台ファーム生産4頭)でした。初年度産駒該当馬11頭の内、1勝したのはクランフォード1頭だけでした。一方、母系を遡ってみると、本馬の8代母にCrystal Palaceの名前があります(遡りすぎ??)。Crystal Palaceを祖として広がる牝系からは、イギリスを中心としてヨーロッパ各地でクラシックホースが輩出されており、日本でも2017年 朝日杯フューチュリティステークス 【GⅠ】勝ち馬のダノンプレミアムが輩出されています。
父馬ブリックスアンドモルタルと相性の良い配合というのは、まだ明らかになっていませんが、母馬リバティハイツはPOG期間内に結果を出した競走馬でしたので、その傾向が産駒に伝わる、もしくはリバティハイツが仔出しの優秀な繁殖牝馬であるならば、POG期間内での活躍も期待できるでしょう。
デサフィアンテ2022(牝)
母馬デサフィアンテはノーザンファームの生産馬で、生涯戦績は13戦0勝。1勝も上げることができずに繁殖入りしています。本馬の母父はキングカメハメハですので、配合相性についての考察はリバティハイツ2022と同じ内容になります。
そこで、本馬とリバティハイツ2022の違いに注目してみたいと思います。上述したように本馬とは母父が同じですので、7/8同血ということになり、2頭の違いは牝系の違いということになります。2頭の血統表を見比べてみると、リバティハイツ2022の血統表の牝系には日本で馴染みのある種牡馬が少ない一方で、本馬の血統表にはサンデーサイレンス、トニービンといった少し前に日本で全盛を誇った種牡馬が名前を連ねています。血統背景だけを見れば、日本の馬場にあった産駒が輩出されそうな血統背景という点では本馬の方に分があり、世界的なレベルでの血筋の良さという点ではリバティハイツ2022の方に分があります。これがブリックスアンドモルタルとの配合によって、どのような違いとなって表れるのか、2頭の競走馬デビューとその後の戦績が大いに気になるところです。
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