JRAが主催している芝1400m以上の2歳新馬戦、未勝利戦を対象として、生産者、厩舎、種牡馬が、どのような成績を残したのかを月別にランキング化していきます。言うまでもありませんが、対象を芝1400m以上のレースとしているのは、ダービー馬となりそうな馬をあぶり出すためには、芝適性があるかどうかを見極めることが必要でしょうし、1400m未満の短い距離を得意とする馬では、距離適性が疑われるからです。
また、新馬戦、未勝利戦を対象としているのは、POGではまず1勝できる馬を探しだすことが重要で、1勝を上げることがダービーばになるための第一歩と考えているからです。このような結果を振り返ることで、今年のドラフト戦略の改善点を見つけたり、来年のドラフト戦略の立案にお役立て頂ければ幸いです。
生産者別勝利数ランキング:2022年6月
上記表は生産者別の勝利数ランキングです。1位はノーザンファームで、6月の勝ち馬頭数は5頭。主な勝ち馬にモーリス産駒のノッキングポイント、ロードカナロア産駒のウンブライルがいます。2位は社台ファーム。勝ち上がり頭数は3頭。
主な勝ち馬には、エピファネイア産駒のシャンドゥーレール、ラブリーデイ産駒のオンザブロッサムなどがいます。複数の馬が勝ち上がったのは、ノーザンファームと社台ファーム。デビュー馬の頭数も他の生産者と比べて明らかに多く、これだけ多くの若い馬を早い時期からデビューさせるための育成ノウハウや環境は、他の追随を許さないものがあるのでしょう。
厩舎別勝利数ランキング2022年6月
上記表は6月の厩舎別勝利数のランキングです。ほとんどの厩舎は勝利数が1ですが、西村真幸厩舎、木村哲也厩舎は2勝を上げました。西村厩舎は実に6頭もの新馬を6月にデビューさせています。
2歳戦を得意とする西村厩舎。今年も2歳戦で結果を残しそうな滑り出しを見せてくれています。木村厩舎の勝ち上がった2頭、ノッキングポイント、ウンブライルは活躍馬を多数輩出している血統背景を持っており、2歳戦からの活躍が期待できそうです。木村厩舎の管理馬は昨年、皐月賞馬のジオグリフと皐月賞、ダービーともに2着に入ったイクイノックスが、クラッシック戦線を賑わせました。ノーザンファームとの連携体制ができあがっているこの厩舎から、今年もクラッシック戦線を賑せる活躍馬が輩出されることでしょう。
また、名門、国枝厩舎からは、4頭の2歳馬がデビューしましたが、6月の勝ち上がり頭数は1頭だけでした。しかし、この後も続々と素質馬のデビューが控えていますので、国枝厩舎の勝利数は伸びてくることでしょう。
種牡馬別勝利数ランキング2022年6月
上記表は6月の種牡馬別の産駒勝利数をランキング化した表です。エピファネイア産駒が3頭勝ち上がりました。種牡馬エピファネイアは、ディープインパクト亡き後のリーディングサイアーランキングトップを狙う有力種牡馬です。牝馬クラシック3冠のデアリングタクト、2021年皐月賞馬のエフフォーリアをはじめ、エピファネイア産駒の活躍馬にはサンデーサイレンス4×3の配合が多い印象で、6月に勝ち上がった3頭の中では、モリアーナがそれに該当します。ちなみに、同産駒のロッソランパンテはサンデーサイレンスの4×4を持っており、シャンドゥーレールにはサンデーサイレンスのクロスはありません。これら3頭の今後の活躍ぶりも注目です。
エピファネイア以外の産駒は1頭ずつの勝ち上がりとなりました。今年の2歳馬はロードカナロア産駒のアーモンドアイが牝馬クラシック3冠を達成した翌年に種付けされた世代ですので、ロードカナロアに良質の繁殖牝馬が集まったであろうことが推測されますが、勝ちあがったのは、6月はウンブライルの1頭だけでした。また、6月の勝ち上がりは1頭だけでしたが、モーリスにも良質な繁殖牝馬が集まっているような印象を受けます。
新種牡馬に注目してみますと、今年は約40頭の新種牡馬がいますが、6月に勝ち上がった産駒のいる種牡馬は、サトノダイヤモンド、サトノクラウン、デクラレーションオブウォー、ミッキーロケットの4頭でした。これら新種牡馬の産駒からクラシック戦線を賑す産駒が出てくるのかも気になるところです。